映画:アンノウン

映画:アンノウン

アンノウン

原題:Unknown

『96時間』のリーアム・ニーソンを主演に迎えた、ベルリンを舞台に繰り広げられるアクション・スリラー。交通事故から目覚めると妻が自分のことを忘れ、別の男が自分に成り済ましていた上に、何者かに命を狙われる羽目になった男が、奪われた身元を取り戻そうと奮闘する。監督は、『エスター』が高い評価を得たジャウマ・コレット=セラ。共演には『イングロリアス・バスターズ』のダイアン・クルーガー、『マイケル・コリンズ』でリーアムと共演したエイダン・クインら国際色豊かな顔ぶれがそろう。

計算されたストーリー

旅行先でのトラブルは怖い。
荷物の置き忘れ、パスポートの紛失、交通事故、記憶障害と先行き不安な感じがする導入部分から、異国で敵に追われながら彷徨う流れはハラハラさせる。

どんでん返しのあるストーリーなのでネタバレを控えて、感想を。

一般人が陰謀や犯罪やらに巻き込まれる系のアクション映画だと、鍛えているわけでもない主人公が何故か強いということがよくある。
この映画の場合は設定に綺麗に収まっていて納得。
結末が解ってみると主人公が置かれていたよく解らない状況もちゃんと符号する。

暗殺者が簡単に返り討ちにあったり、見張りもトロかったりして敵が間抜けな気もする。
まあそうなってしまうくらい主人公が有能だったのだろう。

ジーナが偽名のパスポートを受け取る場面は、はじめ違和感があった。
他人の名前で生きていくことになるけどいいのか?と心配になるし、
いくら移民だからってパスポート偽造をそんな簡単に受け入れないだろうと。

しかし考えてみれば彼女の場合はもともと”4000ユーロ溜まったら書類を買って引っ越す。”と言っていたので、偽物のIDを手に入れることが本来の目的だったのだろう。
ジーナの移民としての苦しい状況は事故現場から姿を消したことや粗末な部屋などで表現されていたのだろうけど、私にはピンと来ていなかった。
最後まで見てやっと、ああ移民は辛いんだなぁ、と思えるくらい。

ジーナがどこからの移民かはわからないけれど「ボスニアで家族を殺された。」というセリフからボスニア移民なのだろうか。
ボスニアだとしたらEU加盟国ではないから、ちゃんとした書類なしでドイツに滞在していたらヤバイのだろう。
「好きに使っていいよ」と渡されたパスポートはカナダ国籍だった。

主人公は自分の始末をつけてスッキリ。
それはいいのだけど、ヒロインは国籍もらってハッピーエンドとは皮肉な終わりかただ。