映画『ダイバージェント』が面白かった

映画『ダイバージェント』(原題: Divergent)がたいへん面白かった。

ダイバージェント : 作品情報 – 映画.com

全米で大ヒットしたベロニカ・ロスのヤングアダルト小説シリーズを、「ファミリー・ツリー」のシャイリーン・ウッドリー主演で映画化。全人類が16歳になると強制的に5つの共同体(ファクション)に振り分けられ、その中で生涯を過ごすことで平和を築いた近未来世界。少女ベアトリスは、ファクションに振り分けられる「選択の儀式」において、「勇敢(ドーントレス)」「無欲(アブネゲーション)」「平和(アミティー)」「高潔(キャンダー)」「博学(エリュダイト)」のどのファクションにも該当しない「異端者(ダイバージェント)」であると判定される。異端者は、その存在自体が知られてはならず、政府の抹殺対象でもあることを知った彼女は、儀式の結果を偽って「勇敢」のファクションに所属し、名前もトリスに変えて身を隠す。軍事・警察の役割を担う「勇敢」での厳しい訓練で徐々に強さを身につけていくトリスだが、何者かによる異端者暗殺計画が動き出し、その身に危険が迫る。

原作はアメリカのジュブナイル小説『ダイバージェント 異端者』である。
本作はダイバージェント・シリーズ3部作の第1部にあたり、すでに小説の『ダイバージェント2 叛乱者』も『ダイバージェントNEO』として映画化されている。

この映画は世界感が面白い。
5つのファクションと無派閥から成る世界では、<平和>が肉体労働をして、<博学>が頭脳労働をする。<勇敢>は治安を維持し、<高潔>が裁く。そして<無欲>が統治する。
これらの派閥に入っていないものは無派閥と呼ばれる。無派閥は職がない最下層で、施しによって生きることになる。

主人公のベアトリクスは<無欲>生まれの少女である。
愛情ある家族に恵まれているが、優等生の兄と比べて自分には<無欲>の資質が無いのではないかと心配している。
判定の日、ベアトリクスは複数の派閥に適性がありながらもどの派閥にも分類することができなかった。判定担当者のトーリに「異端者であることは誰にも言うな。判定結果は無欲と記録した。」と言われる。

ファクションは一生に一度しか選ぶことができず、選んだファクションから脱落してしまうと無派閥者となるので判定に従うことが推奨されている。
だが最終的に自分で選ぶ。

選択の儀式で主人公から見て完璧に<無欲>だった兄が<博学>を選んだことに動揺するベアトリクスだったが結局は彼女も自分の意志で<勇敢>を選ぶ。
ベアトリクスは勇気もあるけど我も強い。だから<無欲>に馴染めない気がしていたのだろう。

ファクションのシステムは5つの派閥が助け合うからこそ成り立つのであって、一度争いが起きれば他者を優先しなければならない<無欲>や嘘がつけない<高潔>が不利すぎるのだけれど、この縛りが登場人物の性格や行動の裏付けとなるのが面白い。

判定にしてもトーリが<勇敢>だったから異端者であることは秘密にされたけれど、もし判定に立ち会ったのが<高潔>だったら、ベアトリクスは異端者として記録されていただろう。

トリスと名前を変えた主人公が<勇敢>で認められようと頑張り、強くなっていく過程は観ていて楽しい。
<博学>が敵となるのは予想通りだったが、結末は第2部に向けてきれいにまとめた感じがした。

映画の中で解らなかったのは、なぜフォーがリーダーを断っているのかというところ。
リーダーの行き過ぎた行動をフォローし続けるくらいなら、自分がリーダーになればいいのにと思う。
「1つのファクションだけはありえない。」という思想のためか?
フォーの考え方は異端者っぽいけど、しっかり洗脳されていたしどうしてリーダーにならなかったのだろう。
このあたり、小説か映画の続編を見ればわかるのだろうか。

この映画はキャストもなかなか豪華である。
『ファミリー・ツリー』のシャイリーン・ウッドリー。
敵となる<博識>のリーダーはオスカー女優のケイト・ウインスレット。
テオ・ジョーンズはイケメン過ぎて登場したときから主人公の恋人役になるだろうことがすぐわかってしまう。
クリスティーン役のゾーイ・クラヴィッツは『X-MEN: フューチャー&パスト』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』にも出演している。

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